今回は、OSHOがどのようにものごとに対処するかということについて書いてみます。
このシュンニョの手記には、私たちがふだん接することのできないOSHOのことが書かれてあります。
そのOSHOの行動を知ることで、OSHOが話していることを彼自らがどのように生きていたのか、ということをつぶさに知ることができます。
と同時に、自分がOSHOの講話から学んだことを日常の生活に生かしていくヒントにもなっていきます。
今回、シュンニョが紹介してくれているエピソードは、まさにそのようなエピソードです。
ほんとうに小さな出来事ですが、でもそのOSHOの流儀で、それまでシーラに支配されていたコミューンを、あっというまにシーラ追放にまで追いやったのですから、お見事というしかありません。
ときすでに遅しで、コミューンを救うことはできませんでしたが、そのプロセスから学ぶことの方が、私たちには大切だったのでしょう。
そういう事件がなければ私たちはまた同じ間違いをおかしていたことでしょう。
大きな代償でしたが、それを私たち自らが学ぶための機会だったのです。
それを学ぶことができたのは、そこで繰り広げられていることに、OSHOが一切干渉することなく、そこにいる人たちの自由を尊重していたからともいえます。
自由には責任がともないます。
その自由から生じたことの結果は自分達で刈り取らなければなりませんが、そこからの学びは大きいと言わざるを得ません。
もしそのような事態になる前に、阻止されていたとしたら、そのようはひどい事態は経験しなくても済んだかもしれませんが、私たちはそこから学ぶ機会もなかったでしょう。
それは子供の教育についても同じことが言えるのかもしれません。
子供に間違いをおかして欲しくない、辛い思いをさせたくないという思いで、とやかく干渉してしまいがちですが、失敗の経験がなければそこから学ぶ機会も失われてしまいますし、失敗をおかすバイタリティさえも奪われてしまいます。
そうすると一度の失敗でくじけてしまう人間になってしまいます。
それはともかく、このコミューンで起こったことのプロセス全体は、まさに権力を行使する世界で起きていることの縮図ともいえるものが反映されていたともいえます。
それについては機会があれば書くことにして、今回はOSHOの流儀についてなので、そのエピソードにもどります。OSHOの流儀を理解するにあたっては、いくつかの大切なポイントがあると思っています。
ひとつは「瞑想」、つまり気づきがあること。
OSHOは瞑想のマスターで、彼の弟子になるための唯一の条件が「瞑想すること」です。
彼が唯一教えていることは瞑想すること、ということは終始一貫しています。
しかもその瞑想は24時間のものにならなくてはならないというのですから、日常においてそれをどのように実践していくのかということが大切になってきます。
このエピソードはそのひとつのヒントになります。
そして「自由が何よりも大切」。
なによりも自由を大切にする姿勢がOSHOにあります。
そのためにも、介入や干渉は一切しない。
たとえそれがその人のためであっても。その人の自由に任せて、干渉しない。
でも気づいて見守って入るので、何かあればただちに対応できる。
そして「信頼」。
どんなことがあっても彼の信頼は変わらない。
シュンニョはOSHOの流儀を、次のようなエピソードのなかで紹介してくれています。
「ある日OSHOの車に乗っていて体験したある小さなできごとは、神秘家がどのように生き、どのようにして人に働きかけるかを物語っています。
車のなかにハエがいて、私たちの頭のまわりをぶんぶん飛び回っていました。
私は手を振りまわしてハエを叩こうとしました。
交差点で車が停まり、前の車が動きだすのを待っているあいだも、私はハエをつかまえようと、窓や座席をぴしゃぴしゃ叩いていました。
ハエをつかまえようと私が悪戦苦闘しているあいだじゅう、OSHOは前を見たまま、じっと座っていました。
やがてOSHOは、振りかえることも目を動かすこともなく、窓の開閉ボタンをそっと押しました。
運転座席の窓がするすると降り、彼は静かに座ったまま待っています。
ハエがそばまで飛んできたとき、彼がほんのわずかに手を動かすと、ハエは窓から飛び去りました。
彼はふたたびボタンを押して、窓を閉めました。
OSHOは一瞬も道路から目を離しませんでした。
また一言も口をききませんでした。
これはまさしく禅でした。このうえなく優美でした」
OSHOはこの流儀で、それまで我がもの顔にコミューンを支配していたシーラを、ほんのわずかに手を動かすだけで、コミューンの外へと追いやったののと同じ流儀でした。
しかもOSHOがシーラに何かをしたわけではなく、シーラは自らコミューンを飛び去ったのでした。
それについては次回に。
「和尚と過ごしたダイアモンドの日々」
(本書は絶版になっています。 お問い合わせはinfo@oejbooks.comまで)