愛は変化する

愛とは何か、ということを考えるときに(愛とは考えるものではないんですが・・・)「愛は永遠に」というふうに思いがちです。

いろんなものは変化しても愛は不変のものだ、という思い込みです。
というか、愛は不変だと信じたいという願望なのかも知れません。

ここでいう愛とは、仏陀の慈愛のような、そのような愛ではなく、どちらかといえば、恋愛の愛に近い意味でのことでしょうけれども、Oshoの語るように、

「愛は生まれ、成長し、老い、そして死ぬ。
そして私が思うには、それはよいことだ」

「愛すれば愛するほど、
あなたはもっと豊かになる。
あなたはもっと愛にあふれる」

というふうに思うことができれば、もっと愛することが自由で楽しめることのように思われてきます。

そうすれば、愛で苦しむこともなくなるのでしょう。

シュンニョは語ります。

「ミラレパといっしょの部屋で暮らすようになってから4、5ヵ月のあいだに自分に起こったことを、私はまだ理解できていませんでした。

彼はとても若い女性たちにひかれていました。
私はそうした若い女性たちと自分とを比較し、彼女たちにはあって自分にはないものを感じるようになり、そのために、自分自身の個性と価値が見えなくなっていました。

私は混乱し、自分には自慢できる特徴などなにもないかのように思うようになりました。
自分を意識するかわりに、まわりにいるあらゆる人たちに注意を向けていたのです。

私は自己催眠を使って、恋愛関係のなかで自分のマインドが陥りがちなパターンの根源を発見しようとしました。

2、3の例外はありますが、私がふつう恋をするのは、特定のガールフレンドを持つことに基本的には興味がない男性たちでした。

なににもまして自由を大切にする人たちです。
ところが私は、彼らの自由をおびやかすようなやりかたで彼らと関係を持とうとするのです。

1週間以上にわたり、私は毎日1時間、ベッドに横になり自分に催眠をかけました。
「このパターンはどこから来たの?」という質問とともに、自分の無意識のなかに入っていくのです。

この質問はゆっくりと無意識に浸透していき、そして私は、このパターンは実のところ、もともとは自分の母親のものだったということがわかりました。

母の恋人は、私が子宮にいるときに去ったのです。
子宮のなかにいる胎児は、母親から生理的なものだけではなく、心理的なものまでも受け取っています。
子供は子宮のなかにいるときでさえ、母親の気分や情緒から影響を受けているのです。

「愛する人は去ってしまうものだ」という思いとともに私は生まれ、やはりそうした思いを持って生まれてからの2、3年間を育てられているのです。

幼少期にも、思春期を迎えてからも、私はいつも自分と一緒にいたがらない男の子を好きになりました。
自分と一緒にいたがらない男性たちを欲するというのが、私にはあたりまえのことになっていたのです。

私のマインドがもつこのパターンは、もともとは自分のものではなく母親のものだったとわかったことで、私は大きな解放感を感じました。

そうした思いが実は自分本来のものではないとわかった以上、もはや、その奴隷になる必要はないのです。

もちろん、そうした思いがすぐにやってこなくなったわけではありませんが、そうした思いと自分とのあいだに距離が持てるようになりました。

まだミラレパを愛していましたが、彼の自由を奪おうとすることよりも、自分の自由を大切にすることに価値を見いだすようになりました。

自分に自由がないならば、私はいつもだれかの助けを期待している乞食にすぎません。
私はそれを理解しました。

もっとも恐れていたことが起こりました。
ミラレパと私は、とても親しい友だち同士になったのです。
私たちの関係からは欲望と狂気が消えました。

私がそれまで恐れていたことは、実のところ、起こりうるもっとも美しいことだったのです。
いま私は彼を見つめながら、大きな愛を感じられます。

彼はあいかわらず女たちを追いかけていますが、私は彼になにも求めません。
彼の瞳を見て、そこに恐怖のない愛、私を溶かすような愛があるのを認めます。

「すべては変化する。
愛もその例外ではない。
愛は変化するということを
だれもに理解してもらいたい─
そのような願いを持った人間というのは、
おそらく私が初めてだろう。

愛は生まれ、成長し、老い、そして死ぬ。
そして私が思うには、それはよいことだ。

ほかの人たちを愛するための
より多くの機会が生まれ、
そうして生はより豊かになる。

一人ひとりの人間は、それぞれあなたに
特別なものを与えてくれるのだから。

愛すれば愛するほど、
あなたはもっと豊かになる。

あなたはもっと愛にあふれる」

「Oshoと過ごしたダイヤモンドの日々」

(本書は絶版になっています。 お問い合わせはinfo@oejbooks.comまで)