アメリカで建設されたコミューンについて、私にはずっと解せないことがありました。
それは、どうしてあれほどの美しいコミューンが崩壊することになったのか、ということです。
ひとつには、外側からの理由としてはアメリカ政府の方針がありました。
キリスト教をあれほど痛烈に批判するOSHOは、キリスト原理主義を信望する人たちによって運営されているアメリカ国家にとって危険人物であり、そのコミューンが成功に近づけば近づくほど、それはアメリカにとって危険な存在になり、なんらかの理由をつけて崩壊させなければならない存在になっていっていました。
それは理解できるのですが、もうひとつの理由、どうしてシーラのような人物を放置したのか、ということです。
キリストにはユダが存在し、仏陀には提婆達多が存在したように、光が強ければ強いほど、影の側面も強くなり、そのような光明を得た人物には裏切り者が出る定めになっているのでしょうか?
シーラというのは、アメリカのコミューンの時代にOSHOの秘書的なポジションにあり、コンミューンに対するまわりの村からの軋轢があった時に、犯罪的な行為を行い、コミューン内部でも殺人を企て、
OSHOさえも殺害しようとした人物であり、最後には、コミューンの建設のために集まっていた4千万ドルを盗み、スイスの銀行口座に移して高飛びしたのです。
その4千万ドルのなかには、コミューンに住むために、すべての財産を寄付した人たちのお金も含まれていたのです。
それはまさにOSHOへの裏切りであり、そのコミューンのために寄付をした人たち、人生のすべてをなげうって終の住処としてコミューンに移住してきていた人々への裏切りでした。
OSHOはそんなシーラのことを見抜けなかったのでしょうか?
この疑問は、このシュンニョの手記を通して見えてきた当時の状況やOSHOの言動から、かなりの部分が明らかになってきて、少しずつその状況が理解できるようになりました。
そこでわかったことは、OSHOがシーラを選任したわけでもなく、OSHOがコミューンを運営していたわけでもなかった、ということです。
OSHOはただ単なるコミューンのゲストにすぎず、コミューンはシーラのものでしかなかったのです。
OSHOはただ沈黙してそこにゲストとしていただけなのに、OSHOを愛する人たちは、ただそこにOSHOがいるということだけで、そのコミューンに集まってきていたのでした。
シーラをそのことを利用して、自らの権力欲のために利用したのでした。
シュンニョは書いています。
「ときどき私はOSHOから「シーラのコミューンはどんなだね」と尋ねられました。
彼にとってそこはいつも「シーラのコミューン」だったのです。
のちOSHOはこう語りました。
「・・・私はあなたがたのコミューンの一員でもない。
私はただの旅行者だ。
ここの住民でさえない。
この建物も私の家ではなく、ただのゲストハウスにすぎない。
私はあなたがたのコミューンでいかなる地位も持たない。
コミューンの代表でもなければ長でもない。
私はなにものでもない・・・。
私も赤いローブを着ても良いのだが、私はいかなる意味でもあなたがたの一員ではないということを明確にしておくために、それはやめることにした。
それでもあなたがたはなんの権力もない私の言うことに耳を傾けてきた。
私はあなたがたになにも強制できない。
あなたがたに命令もできなければ、戒律も与えられない。
私のおしゃべりは、文字どおり、ただのおしゃべりだ。
あなたがたが私に耳を傾けてくれることに私は感謝している。
私の言ったことを受け入れるかどうかはあなた次第だ。
聞くのも聞かないのもあなたの自由だ。
個としてのあなたが干渉を受けることは絶対にない」
OSHOがいつも言うこと、それはいかなることにも干渉しないという姿勢です。
それがたとえその人のためになることがわかっていても、干渉しないのです。
つい、「その人のためになるんだったら干渉した方がいいのではないか、もしろ干渉した方がいいだろう」と思ってしまうのですが、どうやら、OSHOにとってはそうではないらしいのです。
そのことを理解することに,ほんとに時間がかかりましたし、未だに本当に理解できたかというと、未だに腑に落ちていない自分がいます。
瞑想とは何か、という定義として「丘の上の観照者であること」というふうに言われますし、そして「無選択の気づき」というふうに定義される場合もあります。
この「無選択の気づき」というのもなかなか理解しがたいことでもあります。少なくとも、マインドにとっては理解不能です。マインドにできるのは、せいぜい「無選択を選択する」ぐらいです。
OSHOは、いつもまさに、その観照者であり、無選択の気づきのなかにいるようなのです」
「和尚と過ごしたダイアモンドの日々」
(本書は絶版になっています。 お問い合わせはinfo@oejbooks.comまで)