OSHOがこの瞬間の今ここにあるとき

ジャマイカについて間もなく、警察がOSHOのいた場所を訪れ、パスポートのビザを取り消され、「国家保安上の理由」から、ただちに国を立ち去るように命令を受けます。

みな殺しにでもされかねない緊迫した状況のなかで、ジャマイカを脱出するために手配した飛行機の到着の連絡を待っています。そんななかで、突然すべての電気が消えました。

停電です。
シュンニョは暗闇に取り残されたOSHOの様子を見に行きます。
そこで見たOSHOの姿とは?

まさに、いつも今この瞬間にいる人って、こうなんですね。
どんな状況のなかにあっても、未来のことや過去のことで、心配や不安のなかに過ごすこともできれば、今この瞬を子どものように遊びに満ちて、喜びのなかに過ごすこともできるのですね。

シュンニョは書いています。

その日の早朝、OSHOはジャマイカのさんさんと輝く太陽を浴びて目をさまし、家中を見てまわったそうです。
彼は庭やプールのまわりを散歩しました。
それを目にした庭師のリロイは、OSHOの威厳に圧倒されました。
リロイはそのまま暇をもらって、まっすぐに家に帰ると、家族に向かってこう言ったそうです.

「あの人はほんとうにたいしたもんだ。あんな人はこれまで見たことがない」

OSHOは居間にエアコンをつけ、そこで講話をはじめられるようにする計画まで立てていました。
ですが、今の彼は、ただ自分の部屋に静かに座っています。

私はそんなOSHOのところに、私たちが立てたこれからの計画を知らせに行きました。
私はおびえていました。いつ警官たちが戻ってきて、私たちをみな殺しにするかわかりません。

『彼らはほんとうに警官なのかしら』と、私は自分に尋ねました。
私はジャマイカの警官の制服を知らなかったからです。
私の目には彼らは屈強な暴漢たちの一団のように見えました。

私たちは『ニューズウィーク』や『タイム』の写真で目にするような、死体の山になるのでしょうか。
たとえそうなったとしても、誰が気にかけるでしょう。

午後早いうちに、クリフは飛行機の手配を済ませました。
私たちを乗せる飛行機はコロラドから飛んで来ます。
あとは待つだけです!

飛行機は午後7時に到着する予定でした。
そこで午後6時頃、クリフ、デヴァラジ、ラフィアが荷物を持って空港に向かいました。

飛行機が着いたらすぐ、彼らは家に残っている私たちに電話をかけることになりました。
私たちは電話を受けたらまっすぐに、車で空港に向かうことにしました。
アナンド、ヴィヴェック、マニーシャ、そして私が、OSHOとともに残りました。

家は田舎のなかの一軒屋で、辺りにはなにもありません。
7時が過ぎ、それからは、1分1分がまるで永遠のように思われました。

そしてそのとき
・・・・・すべての電灯が消えました。
停電で真っ暗です。
私は思いました「とうとう来たのね」

私はろうそくを見つけ、それをコップに立てました。
それを手にすると、暗闇のなかをよろめきながらOSHOの部屋に向かいました。
OSHOはエアコンのそばの椅子に座っていました。
もちろんエアコンは止まっていたので、部屋はひどく暑くなってきていました。

彼は、まったくくつろいでいましたが、エアコンのことを気にかけていました。
というのは、ふだん私たちは自家発電機を用意していたので、それまでエアコンが止まるようなことはなかったからです。
OSHOはそうしたことを知りませんでした。

私はろうそくを置いて居間に戻りました。
居間ではだれもがろうそくを探していました。
そして私たちは電話が鳴るのを待ちました。

8時になってもまだ、空港からの電話はありません。
私はOSHOの様子を見に、彼の部屋に行きました。
ところが、椅子はからっぽでした。
部屋は真っ暗で、呼んでも答はありません。

数分間、私はそこに立ちつくしていました。
パニックのあまり悲鳴をあげそうになった瞬間、バスルームの扉が開き、OSHOが私の方に歩いてきました。
指を火傷しないようにと、急ごしらえのろうそく立てに、注意深くろうそくを立てています。
彼の姿を見た私はすっかりうれしくなり、ほっとしました。

OSHOの顔には、私が「絶対的なよろこび」としか表現しようのない表情が浮かんでいました。

遊んでいる子供のようなほほえみです。
私が持参したろうそく立てを見せても『いや、こっちのほうがいい』と彼は言います。
『それだと指を火傷してしまいます』と私は言いましたが、それでも彼は自分のこしらえたろうそく立てが気にいっていたのです。

OSHOは、自分のろうそく立てを椅子のところまで持っていき、そして座りました。
そこで私は持参したろうそくをそばに置いて部屋を去り、他の人たちのところに行きました。
OSHOの部屋では、2本のろうそくがあかあかと、椅子に座るOSHOを照らしていました。

扉をノックする音を聞いたときは、ほんとうにもう終わりかと思いました。
でもそれは、私たちの友人のテニスの選手でした。
停電のなかで私たちが大丈夫かどうか見にきてくれたのです。
奥さんと子供も一緒でした。
私は、自分にこう言い聞かせました―――
この人が家族を連れてOSHOに会いにきたくらいだから、恐ろしいことは起こりそうもないってことね。

電話が鳴りました! 飛行機が着いたそうです。
私たちは家に残った身の回りのものを、すばやくかき集めました。
外に出て車の方へと歩きながら、OSHOはほほえみを浮かべて、一人ひとりにナマステの挨拶を送りました

 

「和尚と過ごしたダイアモンドの日々」

(本書は絶版になっています。 お問い合わせはinfo@oejbooks.comまで)