マスターのもとで、マスターに使えるというのは、ある意味とても大変なことです。
マスターの仕事は、弟子を目覚めさせることであり、マスターはあらゆる機会を使って、弟子が無意識から目覚める状況を作ります。
マスターのもとにあっては無意識でいることは許されません。たとえ、それが自分の頭のなかの出来事であっても、その無意識はマスターのもとでは見透かされてしまうのです。
この時期、OSHOはシュンニョやアナンドの、深い無意識に根ざした女性の条件付けから目覚めることに働きかけていたかのように思われます。
OSHOのもっとも身近に使えてきたシュンニョとアナンドは、ついに彼のいた館からも出るように言われてしまったのです。
シュンニョは語ります。
“ある日、昼食のあとにラオツーハウスに戻ってくると、アムリットが門のところで待っていて、私にOSHOからのメッセージを伝えました。アナンドと私はすぐにこの家から出て行きなさいというメッセージでした。
私はこのことをよく受け止めたと思います。
私をむりやり内側に向かわせてくれたこの最後の2、 3日間に、私は感謝を感じていました。
私は 一日のほとんどを、自分が内的自己を発見するための道を歩んでいることを意識しながら過ごしていました。そうすることで、私はすばらしい気分を味わいました。
私は感謝の言葉を伝えると、荷造りにかかりました。
ところが、奇妙なことに吐き気がしてきます。友人たちが荷造りを手伝いにきてくれました。吐き気はしだいにひどくなり、私は雑然とちらばった荷物箱のあいだを歩きながらよろめきました。
「気分はいいのよ」と私はみんなに言いました。
「ただお昼に油っぱいインド料理を食べたの」
「もちろん……」と私は言いました。
「これは感情的なものじゃなくて、油っぽい料理のせいよ」
私が荷物を動かし終えたときには、もうひとりのスワミ (男性サニヤシン)が私のいた部屋に移ってくる用意をしていました。
ラオツーハウスの間を出て、大理石の敷かれた道を歩きながら、自分にあてがわれた別の部屋に向かう途中、私は 「森の炎」と呼ばれる木のこずえを見上げました。この木は道のうえに枝を伸ばしています。
毎晩、OSHOが車でブッダホールヘと向かうとき、この木が道にオレンジ色の花々を降らせます。夜7時にはすでに道にはホースで水がまかれ、掃除も終わっていて、落ち葉一枚残っていないのですが、OSHOが現れる直前に、この木は道に花々を降らせるのです。
OSHOの車が、このオレンジ色の花々に埋まった道を通り過ぎるのを見ていると、それらはまるで、神に捧げられた花のように思われました。
「森の炎」の木のそばを通り過ぎながら、こんなふうにしてマスターの家を出ていくことは、とても悲しいことだと思いました。これをきっかけにして、アシュラムのすべてが変わるかもしれないと思ったからです。
今度は男性たちがすべてを管理するようになるのかもしれません。残された女性たちもまた、マスターの家から立ち退くように言われるのかもしれません。
OSHOは女性にも機会を与えた最初の神秘家でした。それでもなお、女性の条件付けは、あまりにも根深いものだったのかもしれません。女性にとっては、これがすべての終わりなのかもしれません。
私は自分の新しい部屋に入り、そして吐きました。
アナンドと私は、アシュラムの裏門を出てから道路を横切ってすぐのところにある、ミルダッド ハウスという建物に引っ越しました。
荷物を運び終えたとき、アムリットから電話がありました。アナンドと私が出ていったことをOSHOに伝えると、OSHOはつぎのように言ったそうです。
「また戻ってきてもいいとふたりに伝えなさい」
私は戸口に座って泣きました。
「和尚と過ごしたダイアモンドの日々」
(本書は絶版になっています。 お問い合わせはinfo@oejbooks.comまで)