「Oshoの秘密の鍵」
日本ほど清潔で環境が整備されている国というのは、世界でも珍しいです。
どこにいても清潔な水があって、その水を飲んでも安全です。
日本人がインドで水道水を飲んだらアウトです。
下痢になって苦しむことになります。
絶対に水道水やレストランで出される水を飲んではだめなのです。
どんな高級レストランでさえミネラルウォーターを頼む必要があります。
かつて日本には一億総中流と言われた時代があったように、どこに行っても冷暖房は完備され、扇風機ぐらいはあるし、家の中は快適で、清潔に保たれています。
しかしインドでは貧富の差は大きく、貧しい人たちの生活は私たちの想像を絶します。
子供に物乞いをさせるために手足を切る、なんてことまでされていたりします。
そこまで極端ではなくても、普通のアパートでも、粗末な打ちっ放しのコンクリートの箱、という感じです。
6時間あまりものタクシーでの旅のあと、Oshoの一行はインド人さえもがびっくりの部屋に案内されます。
あまりのOshoや自分たちへの待遇に同行の人たちは怒りと文句とでいっぱい。
そんななかでOshoは・・・
ジョティは語ります。
「 午後七時までにはウダイプールに到着していました。Oshoと私たち全員のために用意され た工事中の建物の 一階の部屋に案内されたときには、皆大変なショックを受けました。
四本の脚で支えた木枠に縄を編み込んで作った、インド式のベッドが 一台だけ置かれています。
その上に薄っぺらなマットレスが一枚のせられていて 、それを白いシーツで覆ってあります 。
これがOshoの為に用意されたベッドで、私たちはOshoと同じ部屋の床に敷かれている敷物の上で寝なくてはなりません。
私は扇風機が用意されてないことを知って更に大きなショックを受けました。
部屋の片隅に数本の竹製の柄の付いたウチワが置かれています。
裸電球をつける電線がどこからともなく引いてあります。
私たちの到着に何とか間に合わせて完成したといったバスルームがすぐそばにあります。
それでもあの長い旅を終えた後、私たちは床の上で、Oshoは揺りかごの赤ん坊のようにベッドの上でくつろぎました。
皆静かにしています。
私はこの状況全体に対する怒りを内側で感じながら、それを表現することばを見つけられないでいます。
それでも表面では何事もないように装っています。
Oshoの様子を見ました。
Oshoは全てを喜んで受け入れているようです。
Oshoの顔には不満のかけらもありません。
しばらく横になった後、Oshoはベッドから起き上り、肩にタオルをかけてバスルームの方へ歩いていきました。
Oshoの姿がバスルームに消えるやいなや、私たちはいっせいに自分たちが置かれているこのひどい有り様について話し始めました。
この部屋を用意した人物にはOshoをもてなすむずかしさが理解できないのです。
彼は自分にできる最高の準備をしたと考えているのです。
それにここで泊れるところは他にはありません。
Oshoがバスルームから出てきたのに気づいて、皆、口を開ざしました。
シャワーを浴びたばっかりのOshoはとても爽やかで光り輝いています。
どうしてもじっと見つめてしまいます。
私たちを見たOshoは笑顔をなげかけると、きらびやかな王冠をかぶった王様のように威厳ある動作でベッドの上に座りました。
そのとき、Oshoには何か秘密の鍵のようなものがあるに違いない、それを盗んでしまいたい、私はそう心のなかでつぶやきました。」
今日はここまでにします。
えたに